![]() ついに完成しました「実験室」。予約受付も始まっていよいよリリースを待つばかり。それを記念して、ヒロイン・営子役で奮闘した以倉いずみさんを迎え、フォト・セッションを展開するかたわら、収録の舞台裏などをたっぷり語っていただきました。5月6日からやられるお芝居の話も興味津々! ☆撮り下ろしスペシャル≫「或ル人妻ノ告白」
館主 というわけで、久々登場の以倉いずみさんです。 以倉 どうぞよろしくお願いします。 館主 以倉さんは、何とこのタクラマ館OPEN直後の、初の撮り下ろし企画のモデルさんだったんですよね。あれから早いもので2年ちょっとが過ぎてしまいましたが…。 以倉 もうそんなに経つんですねえ。 館主 あの時は鎌倉での撮影で、まだ知り合ったばかりということで結構緊張されてたようでしたが、今回はどうでした? 以倉 ええ、2回目ってこともあったんでしょうけど、前よりはだいぶ、リラックスしてやれました。「実験室」での役の再現てこともあったからでしょうか。 2003年3月、鎌倉 2005年2月、都内某所館主 出来上がった写真を見ての印象は? テーマは堕ちていく人妻の告白(苦笑)ってことでしたが。 以倉 恥ずかしいですねえ。やってる時の恥ずかしさもありましたけど、それ以上に、出来上がったのを見るのは、…ちょっと困りますね。特に時間が経ってから見ると。でも、思ったよりはやれてたというか。もっとブザマなのかと思ってたんですが。 館主 その辺はさすが役者さんですよ。普段の以倉さんの表情やキャラとはかなり違ってますもんね。 以倉 あ、でも私、「求めてる系」がうまいって、結構言われます。 館主 何ですか、そりゃ。 以倉 肉体的な空気っていうのか、露骨にエロエロしてないところが、逆に男を誘ってるように見えるそうで…。 館主 そうなのかなあ。まあ、今回の「実験室」でも、増沢望さん演じる流行作家を、自分から誘惑する人妻役ですもんね。今回の営子っていう役は、どうでした? 以倉 最初に台本を読ませていただいた時から、とっても魅力的な女性だなあって。終戦間もない、男も女も、いろんなことに揺れている時代の中にあって、夫のことも信頼しているんだけれど、新しい価値観を持った別の男のひとに魅かれていく気持ちはとてもわかるんですよね。 館主 「岩」のような夫・兼近と、「波」のような深瀬の間で、以倉さん演じる営子はまさに「海草」のように翻弄されるんですけど、ご自身に置き換えると、どうですか? 以倉 うーん。この作品の営子は、どうみても不利な条件ですよね。深瀬にも奥さんがいるし、自分は二号にさえしてもらえない。そういうのをわかってて、深瀬の世話をしてあげたいとか夫に対して言うんですから。おそらく、営子にとって深瀬というのは人生の中でそれまで出会ったことのないタイプで、それだけに、強烈に魅かれたんでしょうね。そういう気持ちもわからなくはないけど、そこまでの献身ていうのは、今の自分にはちょっと想像できないですね。 館主 じゃあ以倉さん自身は、深瀬派っていうよりは兼近派ですか? 以倉 そうですね。でも、ある程度年の離れた夫婦ってそうかも知れないんだけど、この営子もすごく兼近に可愛がられて、守られていて、だけど、そういうのは言ってみれば空気みたいな愛情で、自分がいかに愛されているか気がつかないと思うんですね。その辺は営子の幼さというか。そのうち戦争が終わって、いろんなものの価値観が変わって、自分も外で働き出す。それで、いっぱしの職業婦人になったつもりになって、夫以外の世界を覗いてみたら、深瀬みたいな男に出会ってしまって…。その辺のプロセスはすごくわかるんです。 深瀬の破滅的な愛情に営子、メロメロ?館主 営子は深瀬との過ちを兼近に告白し、そして深瀬からうつされた病気(性病?)を兼近にうつしておきながら、その上「あなたは私に嫉妬しない!」と怒るわけですよ。聞きようによっては大変な悪妻なんですが、その辺の心理は…。 以倉 営子は兼近の大きな愛情に気がついていないんでしょうね。だから、無意識のうちに兼近を挑発するようなことを言って、彼の感情が爆発するところを見たいんじゃないでしょうか。そうすることで、彼の愛情を確かめたいという。 館主 なるほど。浮気というのは夫に振り向いてもらうため、嫉妬させるためっていう部分もどっかにあるんでしょうか。でも、作品を見てると、兼近役の加藤忠可さんは結構感情を爆発させてたような…。 以倉 そうですね。「あれだけ怒るんなら、充分嫉妬してるじゃん」て(笑)。 ACT2 終戦直後、日本男性の愛情表現は… 館主 その辺は、演出の不手際だったかも知れないですね。兼近は「岩」なんだから、もっと最後までストイックな方がよかったかも知れない。あと、兼近の描き方でいうともうひとつ、あの時代の作品としてはどうなんだろうって悩んでいるのが、ラスト間際の描写です。ずぶ濡れで戻ってきた営子に対し、兼近が妙に献身的に体をふいてやる場面があるじゃないですか。あそこは、原作にはない、私の補作なんですけど、ああいうのも、当時の男としてはいささか軟弱なんじゃないかと、今さらながら首をかしげてるんですが。この作品の設定と同じ昭和23年の作品で小津安二郎監督の「風の中の牝鶏」なんかを見てみると、奥さんの不貞を知った夫が、奥さんを怒鳴るわ、どつくわ、階段から突き落とすわ、そのあげく、手を貸すこともなく「おい、大丈夫か」ですからね。見方によっては大変な暴君ぶりで…。 以倉 あそこまでやられると、私なんかはちょっとついていけないかも…。 館主 「風の中の〜」は、時代状況も、妻の不貞というテーマもある種共通していたので、加藤さんと以倉さんにはビデオを見てもらってそのあと少し意見交換もしたんですよね。加藤さんは、「あの亭主も、心では妻を許してるんですよ。でも、行動というか態度はああなってしまう」と言ってましたが。 以倉 そうですね。ああいう愛情の示し方もあると思います。 館主 あれがあの時代の男性の標準的な愛情表現だとすると、兼近のリベラルな態度は、やっぱりいささか現代的なのかなと。 以倉 でも、中盤くらいの営子のセリフに「あなたと結婚したばかりのころは、ちょっとのことでへこたれて、熱を出してばかりいて…」なんていうのがありますよね。多分そういう時、兼近は年若い営子を一生懸命看病してくれたと思うんですよ。ラストのあの兼近の行動は、そんな昔への回帰現象というか…。だから営子も、そうやって兼近に身を委ねることで、以前の兼近の優しさを思い出して、愛情を再確認しているんじゃないでしょうか。そういう意味では、とても自然に演じられました。 この夫婦に果たして明日は来るのか…館主 なるほど、役者さんていうのは、こっちが気がつかないところの感情まで、模索しながら演じてるんですねえ。そうやって考えると、あの夫婦の仲は、まだ修復可能なんでしょうか。 以倉 いや、完全に元には戻らないと思います。 館主 え、でも、愛情を再確認したわけですよね。 以倉 そうなんですけど、でも、深瀬を知る前の営子とは、もう違うわけですから。兼近に対しても、気持ちが離れてしまったわけではないので、見た目の生活は元どおりに営んでいくのかも知れませんけど、すっかり同じというわけにはいかないですよね。 館主 うーん。そこら辺は共演者の中でも意見が分かれてまして。まだ夢見がちな(?)松井茜ちゃんや鈴木啓文くんなんかは「やり直せる」って言っていて、ある程度人生経験を積んできた加藤さんは以倉さんと同じで、「難しいでしょう」みたいな口調でしたよね。このあたり、ご覧になる方がどう思われるか興味あるところです。 以倉 そうですね。未婚者と既婚者でもだいぶ受け取り方は違うでしょうし。
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